話が絵画続きになる。
 アリスの作品を子どもたちにバレエで創作したいと思ったのは、私が金子国義のファンだったからでもある。
アリスの挿絵は作者であるルイス・キャロル(1864年)から始まって、ジョン・テニエル(1871年)チャールズ・ロビンソン(1907年、イギリス)ガートルード・ケイ(1923年、アメリカ合衆国)など、相当数の画家が手がけている。
 
 その中で、私は金子が一番好きだ。独学で描き始めた油絵が作家の渋澤龍彦の目にとまり、41年、渋澤の翻訳による「O嬢の物語」の挿絵を担当。世紀末的、退廃的な雰囲気を漂わせる画風で知られる。
 
 裕福な家庭に育った金子は小学生のときに見た「バレエ」に憧れ、親に内緒で習いに行くが、ばれてやめさせられている。日大芸術学部を出てから、舞台美術に目覚め、バレエ、歌舞伎の美術を手がけている。唐十郎、四谷シモン、勘三郎の歌舞伎舞台はもとより、三島由紀夫など文化人の仲間とさまざまな文化活動をおこなっていた。
 皆さんお世話になっている、尾本安代先生は、金子国義の舞台美術で「アリス」の公演に出演なさっている。
残念ながら、私は観ていないのであるが、その世界の空気は感じることができる。
 子供用に創っているので、デカダンスを漂わせるわけにはいかない。しかし、わけの分からないこの話を子どもたちは大好きだ。子どこそが未分化でアリスの世界にいるのかも知れない。